クレーマー、クレーマー
お金を払う代わりに何らかのサービスを受ける。たとえ、IT化が進んでも、この人間同士の約束は、多少融通がきいてもいいだろう
(中略)
交渉しよう。店側は「だめだ」という自由がある。そしてお客はサービスを選択する自由もある。
自由とは、行使して初めて自由と呼べるものだが。
小栗左多里『ダーリンは外国人』 メディアファクトリー (2002) p.36
・昨日の買い物は、実は弟の入学式用スウツを買いに行ったついでだった訳なのですが、その際、素晴らしい体験が出来ました。
・昼食をとるべく、大丸梅田店のレストラン街にあるキタグリルなる肉料理店に入りました。そこで母、弟、私とそれぞれに料理を頼んだのですが、弟のセットについてきた「トマトのサラダ」に問題発生。
・トマトを丸ごと湯剥きしただけのものを、水菜を敷いた皿の上に載せてサザンアイランドドレッシングをかけたシンプルなものなのですが、どうもドレッシングのビネガー臭がきつく、酢ギライの弟には摂食困難なようでした。
・そんな様子を見て取った女給(ウェイトレス/ギャルソンヌ)さんが、「よろしければドレッシングのかかっていないものをお持ちいたしましょうか?」と間髪を入れずにフォロー。「塩と胡椒でもお召し上がりいただけますので、直ぐにお持ちいたしますね」と満面の笑顔で。一同、「素晴らしいサービスだなあ」と褒め称える。
・そしてめいめいが大変美味しくメインディッシュを頂き、件の弟はセットのコーヒータイム。そしてコーヒーにシャーベットがついてきたのですが・・・
・(女給)「こちらはヨーグルトシャーベットでございます」 弟「(うっ)・・・ヨ、ヨーグルトかあ・・・」弟はヨーグルトが苦手な様子。
・すると件の女給さんは「あ、バニラのアイスクリームもありますのでお取替えいたしましょうか?」とナイスフォロー。「何度も我侭なお願いをして申し訳ない」というと、女給さんは「いえいえ、とんでもないです。折角お金を払って食べるんですから、ちゃんと美味しいものを食べないと勿体無いですから。」と笑顔で。一同賞賛の嵐。 そしておなかは満腹。心はあったかさでいっぱいに。感動。
・私が素晴らしいと思ったのは、(お金を払っているにも関わらず)言い出しにくいこちらがお願いした訳ではなく、こちらの様子を観て直ぐに代替案を提示するというお店の(女給さんの)姿勢なのです。これぞサービスの鑑、と思い至った次第。
・そしてなにより素晴らしいと思ったのは、これが担当してくれた女給さんが単に素晴らしかったのかも知れないということではなくて、ここまでの裁量と権限を、責任者単独ではなくて女給や給仕すべてに持たせているというお店側の姿勢なのです。
・ところでうちの弟が好き嫌い多すぎなのでは?という疑問はこの際眼をつぶってください。合掌。