精神科で坂口安吾を読む患者

・カウンセリングを受ける。希死念慮、精神的な疲労、無力感と無気力感について話す。

・変わるところは変わっていけるし、変わらないものもある、と。

・「ごとうさんは『甘える』ことができますか?」と訊かれてしばし呆然。「甘えるとはどういうことか分かりますか」と訊かれても何も答えられなかった。

・私は、「甘える」ということを知っているつもりで、実は全く知らないことに気付かされた。26年間生きてきて、「甘え方」を学び取らずに来たのだ。

・随分なショックだった。分かりきったことだと思っていたことが、実はよく考えると全くわかって居なかった。

・何でもかんでも独力で解決しようとしてしまう。其れが出来ないと判っているときでさえ。そうして行き詰まって、或るときは酒に逃げ、或るときは絶望し、死を希う。

・「厚意に甘え」てもよいときでさえ、あえて其れに甘えないで超然とした態度をとることで、却って長期的な便宜や寵愛を受けようとする下心があって、「甘えない」ことをある種の処世術として使ってきた面もあった。

・「これからは、いろいろな場面で、もっと甘えてみる、ということをしてみるのも良いのではないか」との提案をされた。

・あと、自己評価の低さがどこから来たのか、過去に遡って棚卸しをしてみたり。

・自分が怒られている場合は勿論、ひとが怒られている場面ですら正視出来なかったり(震えたり吐き気を催すこともある)、怒っている人や、見知らぬ人同士の諍いを見ただけでストレスになったり、兎角人が怒りの感情で高ぶっている場面に恐ろしく弱くてショック症状や激しい拒絶反応を示してしまうことを話したりした。