智惠子抄

古書店で¥500也


・思うところあって、郄村光太觔の『智惠子抄』を再読してみた。

・かつてかかりつけだったアルコール専門医で、待ち時間にでも読もうかと、医者の近所にある古本屋で購入したものだ。

・何せ詩も後書きも全て旧漢字・旧仮名遣いなので、読むうちに思考が完全に本の中に没入してしまい、時間を忘れることが出来て良かった。解らない漢字はあとで家に帰ってから辞書を引いて調べるので、知識も増えて楽しかったのだ。

・その後書棚の肥やしになっていたのだけれど、身辺の事情で思うところあり、再読してみたのだ。

・そして驚いた。手にした当時には解らなかった、著者の様々な情動や心情が、今ははっきりと解るのである。私をめぐる様々な事物の変化が、私の思考に多くの糧を与えたのだろう。

・冬の北風が木の枝を鳴らす音を聞きながら読んでいると、えもいわれぬ感覚に囚われて、涙が出そうになった。

・いやあ、読書って、良いもんですねえ。


追記:
 このエントリをあとから読み返してみたら、なんだか近親者か愛する人でも死んだのかと思われそうなので、「そんなことはない」と書いておきます。いや、ほんとたいした事があったわけじゃないんですよ。