関西はすこぶる快晴ですよ

・本日、地元教会にて、19時より、断酒9ヵ月の仲間のメダルと不肖ごとうの(笑)バースデイ・ミーティングを行います。御多忙中甚だ恐縮に存じますが、万障御繰合せの上、皆様方の御来駕の栄を賜りますれば幸甚之に過ぎるものは御座いません。

・というのはまあ前置きと言うかジョークなんですが、今日何を喋ったらよいものかと色々考えているうちに惑乱してきまして、正直疲れてしまいました。
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・実は先日、先行く仲間とそんな話をしていたら、「自分では意外に忘れてしまっていることがあって、ひとつ思い出すとボロボロといっぱい思い出したりするよ」と言われたので、そんなものかと思い、古い日記なぞ取り出してみました。

・するといろんなものが、垢すりでもしたときみたいにボロボロと出てきて、正直なところつらかったです。
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・バイト先に不安神経症うつ状態)を隠していたこと。それを隠す為に酒を飲みながら勤務し始めたこと。日記を読み進めるに連れてどんどんと増えてゆく酒量。飲み足りない量と飲みすぎの量の境界線が、日増しに薄く不明瞭になって行ったこと。
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・そして、自分ではすっかり忘れていた、自分の寿命を自分で決めて、それを不動のものとして受け容れていたこと。(大学卒業と同時に死のうとしていたのだ!)

 そのために、卒業間近の教室で、友人にサイン帖を配られたとき、酔いにまかせて面白おかしい回答を記入しつつも、質問項目のひとつ「十年後の自分はどうなっていると思いますか」に答えようがなく苦笑したことが書かれていて、愕然となりました。
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・そして、バイト先の同僚女性に恋焦がれつつも、あと数ヶ月で死に行く自分では如何ともしがたい、などとお為ごかしを並べながら酒に酔い痴れていたことをはっきりと思い出し、恥ずかしさに悶え死ぬかと思いました。破廉恥漢。
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・お酒を断ったこと。そして何より、AAに繋がって、そのプログラムを(少しづつではあるけれど)受け容れていったことによって、私は少しづつ変わる事が出来ました。

 心の平穏と落ち着きを貰い、とりわけ自身が「成長」することに喜びを見出すことが出来るようになりました。

 この一年は、私の人生にとって26年のうちの1年にしか過ぎないけれど、多分、最も価値ある一年であったと思います。そして、これからもそう言い続けられる様にしたいです。
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・勿論、本当の試練はこれからです。これまで考えることから身をかわしてきた様々なこと、(復学して、単位をとり、修士論文を仕上げること)(更なる進学か、就職か)(いずれにせよ、最終的に職に就くときのこと)に正面から向き合っていかねばなりません。そうして困難に直面したときに、酒や、あるいは他の何か依存性のものに逃避してしまうか、飲まずに対処できるか。そこではじめて、この一年で本当に「成長」出来たのかどうかが試されるのでしょう。
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・最後に、この言葉で以ってこの場を終了させていただきたいと思います。

 なにも起こらない人生の、どこに面白みがあるっていうんですか。
  なんでも見てきなさい。
   そしてなぜ、このいまに自分が試されたのかを考えなさい。


      山崎マキコ『ためらいもイエス』 文藝春秋 p.228