つくり笑顔も色褪せた

 今日は出かける予定であったので、あれこれ準備をしては気分を外向きに作っていたのに、突然予定がキャンセルになってしまった。自然、外に向かって発散しようとしていたある種の感情が、内向きに折れ込んで来る。其れは棘の鋭さで、心をささくれ立たせる。情動が内向して、ある種の苛立ちや嫌悪感をひきおこす。

 以前ならば、アルコールの力でそういった感情を外向きに発散させたり、雲散霧消させたりしたのだが、それは最早かなわない。

 更に以前ならば、腕を切ったりもして居ただろう。腕を伝う血の温かさ。誰かが言った、「血は、心が流す赤い涙」だと。私は其れを比喩ではなく、実感として受け取った。


 以前であれば気にも留めなかったような小さな蹉跌が、複雑に形を変えながら、内向きに作用してくる。生きている辛さが、直接肌身に迫ってくる。私は、アルコールを禁じられたから生きることが苦しくなったのではない。依存症になる程アルコールを飲まなければいけないくらい、生きることが辛かったのだ。