頑張った自分へのご褒美(笑)

修論の口頭試問、無事終了。終始和やかな雰囲気で進んだのでホッとしましたが、手厳しい質問も結構ありました。1時間て結構長い。

■自分は国際法のゼミに属していたのですが、修論の内容はもう完全に政治哲学だったので、畑違いの論文に主査(指導教員、専門は国際公法、宇宙法)も複査(専門は国際環境法)も苦しまれたご様子。三方一両損。以下、修論に関する話題は最後に飛ばして、日常話など。



■終了後、相方と京都の街に繰り出しました。錦市場を探索し、私のお気に入りの奈良漬を買い求めました。そして魚屋で、店頭で売られていたマグロのヅケや焼きホタテ(店頭で食べられるよう、串に刺してある)を買ったところ、魚屋の店長が、「大将、今日はバレンタインなんで、ひとつプレゼントいたしやしょう」みたいなことを言って、私にチョコを手渡してきました。大将て。アレか、スウツの仕業か。

■ちなみに今日もらったチョコはこれひとつでした。

■相方からは普段、有形無形のいろんなものをもらっているので、今日わざわざ改まってもらうことはしなかったのですが、結局これを買ってもらいました。

復活!


■フランスの「ボンヌママン」という、コンフィチュールで有名な会社のお菓子で、ラズベリーのジャムが乗ったタルトです。輸入食品を扱っているお店でたまに見かけ、以前から愛好していたのですが、半年ほど前に店頭から姿を消し大変に残念に思っていました。 それが今日久々に寄った店でパッケージや内容の一部を買えて復活していたので大喜び。

■一つ一つのタルトの大きさが小さくなり、その分個数を増やしての再登場でしたが、味は変わっておらず良かったです。食べるとバターの風味がふわっと広がって、そのあとにラズベリーの酸味を帯びたさわやかな風が吹き抜ける、お菓子というよりもスウィーツと呼びたい一品です。紅茶に良く合います。幸せ。



■そして、修論。 大学時代に私は国際政治の理論を学びたいと思っていながら、国際政治学担当の教員の定年退職に伴うゼミの不開講により、次善の策として国際法のゼミに所属していました。(それはそれで教授もかなりの実力者でしたし、複数の大学の国際法ゼミどうしでのディベート大会があるなど、充実していて楽しかったのですが。)

■私が大学院に入った当時の指導教員は国際政治学が専門で、『現代思想』に論文を載せちゃうような人でもありました。 ようやく念願かなって、国際政治について学んでいくにつれ、次第に具体的な国際政治の事象よりもその背景にある思想に興味を移してゆくようになります。しかし哲学・思想の領域に関する系統的な教育を受けたことのない私は、それらを独学で習得しなければ先へ進めず、研究したい分野の事柄もいまいち把握しきれないという状態になり、閉塞感を強めてゆきます。*1

■それと時を同じくして、私の飲酒癖はにっちもさっちも行かなくなりました。研究が進まない。テキストを読んでも理解できない。自分の能力の限界を知りつつそれを認めたくないという気持ちの拮抗は、飲酒をより悪い方向へあっという間に導いていきました。

■結局、院の2年目の途中でパッタリと学校に行かなくなり、酒を飲んで、酔って死のうか生きようかと迷い続けたのち、酒を一切やめて生き返そうと思い至ります。医師の診断は予想通りアルコール依存症で、酒を一切やめ、学校を一年休学しAAに通って、私の行き方は少しづつ変わってゆきます。


■あれ、こんな話になる予定じゃなかったんですが……


■まあとにかく、そんなこんなで休学を終え院に復帰すると、ゼミの先生がなんと関東の大学に移るから他のゼミを探せという話に。 他の教員で私のやろうとしている分野を扱える人なんていないじゃん! となったわけですが、何人か当たってみると、国際法を担当していた博覧強記でもって鳴る教授が、その分野も指導できるからうちのゼミにおいでと言ってくだすったのです。それでもやはり大半は独学にならざるを得ず、さらに一年余分にかかってしまいました。結局古典哲学だけでなく、経済学(の一部)や現代思想にまで手を広げたところで、ようやく本筋の議論が整理できました。

■とまあ、こういう理由で国際法の先生との口頭試問は、ともすればすれ違いになりかねない質疑応答をどうにか互いの歩み寄りで成立させるという一見非常に危なっかしいものでもありました。やはり思想であっても、いや、思想であればこそ、実現可能性を担保するために現実の国際政治や国際法に至るまできちんと把握しておかねばならず、そのような裾野の広い学問領域は私には到底扱いきれないなあ、と思い至った次第です。(現実の国際法とどう擦り合わせるかに関するビジョンを提示すればなお良かったね、といったことを言われた)


■むすびに変えて

 ここ十年くらいの私の行き方は、壁にぶつかっては方向を変え、跳ね返ってはまた方向を変えという具合だったような気がします。チョロQか何かのような。曲がりくねった道でもうまくカーブを切れるようになりたい。鋭意努力中であります。

 こんなに長い自分語りをする筈ではなかったのですが、大学院の間のことを振り返る良い機会だと思い、まとめてみました。世の中にはまだまだこんな不器用な奴もいるぞと、誰かの気が少し位楽になれば幸甚これに過ぎるものはありません。

*1:学術研究の領域は基本的に先人の成果の積み重ねの上に成り立っているので、今ある理論を研究するにはそれ以前のものを理解しておかないとほとんど理解できない。