震える手で掴んだもの

 まだ心拍数は早いものの、気分はどうにか落ち着いたので、これから出掛けようと思います。ワイパックス舌下投与したので、武装は整いました。

 以前はこういった発作が起こると、とにかく手近にある強い酒を3〜4杯立て続けにあおって、気分を落ち着けていたものです。大抵ウィスキイか、ジンで、外出先ならテキーラでした。アルコールを燃料にして、死に至る街道を驀進していたのです。

 燃料はどこでも補充できました。バーや飲み屋は言うに及ばず、レストラン、カフェ、はてはコンビニに自販機。何の心配もありませんでした。そしてポケットにはウィスキイを満たしたスキットル。私の燃料タンク。

 何のことはない。依存するものが、アルコールから合法の処方薬に代わっただけ、毒性が弱まっただけのこと。不安発作で震える手で、昔はショットグラスを、今は錠剤のシートを掴んでいる。それだけの違い。精神に作用する物質に依存して生きていることに変わりはないのです。


 そうまでしなくては、生きて行けないのですか。