Si Vis Pacem, Para Bellum

・腰のホルスターのとめ具を外し、グロック・モデル26をそっと取り出す。口径9mm×19mm。そっと遊底覆いを引いて薬室に初弾が装填されているかを確かめる。

・人ごみを縫うように掻き分けながら、入洛する車列に近づいてゆく。

・合衆国大統領G.W.ブッシュの車が、人々の歓喜と怒号に包まれながら近づいてくる。

グロックを握った腕をすっと伸ばし、ゴキブリのように黒光りする車に向ける。

・それに気付き、慌てて近づいてくる警備の人間。鳴り響くクラクション。

・車中の人物まで15ヤード。外しはしない。照門と照星はピタリと連なり、人差し指が引き金を引き絞ってゆく。

・発射の閃光に目が眩む。銃口を離れた口径9mmの銅被甲された鉛弾は、意中の人物めがけて高速回転をしながら毎時1,000kmの速度で向う。

・けれどそれは防弾ガラスに虚しくはじかれ、火花を散らして終わる。

・そして警備の人間が放った口径.38special弾が幾つも私の肉体に突き刺さり、同化し、血と脳漿を飛び散らせる。

・そんな妄想。

バカが来日します。金閣寺は大学院の直ぐ裏ですが、何か。