DE OPPRESSO LIBER

・夢を見ました。

・私は祖父と赤提灯街を歩いている。祖父の行き付けの店の暖簾をくぐる。女将と祖父の会話を聞き流しながら席につくと、目の前に焼酎のロックがスッと差し出された。

・ところが夢の中の私は、「あ、すいません。いまドクターストップで飲めないんですよ。」と言って、コーラか何かをくださいと言った。女将は「まあ、お若いのに大変ネェ」などと言いながらコーラの瓶の栓を抜き、グラスと共に私に差し出した。祖父はもう2杯目のロックに手をつけていた。 ――という夢。

・目覚めた瞬間、「わあ。夢の中でも断酒してるよ。俺ってスッゲ!」などと思いあがってしまった。

・私はフロイトをあまり信用してはいない。けれども、彼らの学派が言うように、夢が、現実において抑圧された欲求の噴出する場所であるならば、――少なくとも現時点の私にとって――断酒は私の欲求を抑圧していない、ということになるのかもしれない。少なくとも苦痛に感じていないことのひとつの証明ではあるまいか。

・けれど、さらに疑った時、次のような仮説が成り立つのではないか。それは、飲酒の欲求を意識下においてだけでなく、無意識の次元においても厳しく抑圧しているために、夢の中でも飲酒が抑制されたのではないかというものだ。もしそうならば、はけ口を一切失って溜めこまれた欲求がいずれどこかで噴出したり、他の何か精神的なことに影響を及ぼすといったことは考えられないか。

・でもフロイト信じてないから良いのです。普通に夢の中でも断酒できたということで、素直に喜ぶことにします。