寸評

 『県警対組織暴力』のなかで一番好きなシーンは、人を殺してしまって、自首しようと菅原文太の部屋に転がり込んできた松方弘樹が、お茶漬けを食べた茶碗を流しで黙々と洗っているシーン。
 組織の一員としての人間と、絶対的個としての人間の両側面の葛藤。腐敗。崩れ行くものの悲壮美。